「やっぱり守備重視のほうが安定して勝てるし、昇格しやすいよね。」
勝ちが遠のくと、このようなことが囁かれ始めます。色々な考えがあるとは思いますが、最近読んだサッカー本から、この問題に対する一つの答えを挙げます。
参考にしたのは、「サッカーマティクス~数学が解明する強豪チーム勝利の方程式」という数学とサッカーの関係性を述べるサッカー本です。
この本の
第6章:「サッカーを劇的に面白くした勝ち点3の魔法」
では、勝ち点3の意義について述べられています。
〇守備的な戦術は勝ち点の期待値が低い
サッカーでは
・負け:勝ち点0
・引き分け:勝ち点1
・勝ち:勝ち点3
となります。
例えば、ヴォルティス対浦和の対戦カードで、以下のような試合結果となる確立だとして、
浦和が攻撃的
|
浦和が守備的
| |
ヴォルティスが攻撃的
|
勝32%,分20%,負48%
|
勝16%,分60%,負24%
|
ヴォルティスが守備的
|
勝16%,分60%,負24%
|
勝8%,分80%,負12%
|
勝ち点の期待値を出してみると、
浦和が攻撃的
|
浦和が守備的
| |
ヴォルティスが攻撃的
|
(0.32×3)+(0.20×1)=1.16
|
(0.16×3)+(0.60×1)=1.08
|
ヴォルティスが守備的
|
(0.16×3)+(0.60×1)=1.08
|
(0.08×3)+(0.80×1)=1.04
|
となります。よって、浦和のほうが強いとわかっていても、攻撃的サッカーをしたほうが勝ち点の期待値が高くなります。
〇イングランドの引き分け数
実際、このようなことが分かっていると攻撃的サッカーをするチームは増えるのか?
イングランドでは、勝ち点3制度を導入してから明らかに引き分けが減ったというデータが出ているようです。つまり、攻撃的チームが増えているのです。
〇相手チームの勝つ確率があなたのチームの2倍未満なら攻撃せよ
対戦相手によって当然勝てる確率は変わってきます。ならば、どの程度の確率であれば攻撃的サッカーをすべきなのか?著者は、
”相手チームの勝つ確率があなたのチームの2倍未満なら攻撃”
と述べています。
ある仮想リーグで、20チームを
・攻撃:常に攻撃的
・守備:常に守備的
・格上:相手のチームが勝つ確率が高い場合は守備的にする
・2倍:相手チームの勝つ確率が自分のチームの2倍未満なら攻撃
の4つの戦略に均等に振り分け、各チームに戦力値を振って、対戦カードごとに確率を決める。そのシーズンで降格したチームの戦略を、昇格したチームの戦略と置き換えて再度、次シーズンをシュミレーション・・・というふうに繰り返していくと、
3シーズン目には「守備」戦略を取るチームは消え去る
10シーズン目には、「攻撃」「2倍」しか残らない
という計算結果が出ていました。つまり、著者によると、数学的には攻撃的サッカーをしたほうが昇格しやすいのです。
ヴォルティスより明らかな格上チームが今のJ2にいるでしょうか?強いて言うなら湘南くらいかな?
今はサポーターだけでなく選手やスタッフも不安を抱えているのかもしれません。しかしながら、ヴォルティスが攻撃的サッカーをしているのは幸運であると考え、リカルド監督を信じて頑張っていこうではありませんか。
この本では、イブラヒモビッチのオーバーヘッドゴールを数学的に考えたり、著者自身が数学的計算をもとにブックメーカーで賭けを行ったりと、他にも面白い話がたくさんありました。